📖 この記事は約7分で読めます。
はじめに
仮想通貨の価格変動に不安を感じる方にとって、ステーブルコインは非常に便利な存在です。ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨や資産と価値を連動させることで、価格の安定性を実現した暗号資産です。
現在は数多くのステーブルコインが存在していますが、その中でも特に利用者が多く、注目されている銘柄には共通した特徴や強みがあります。本記事では、2025年6月時点での代表的なステーブルコインを中心に、その特徴や仕組み、背景にある企業やプロジェクトについてわかりやすく解説します。
テザー(USDT)|歴史が長く圧倒的な流通量
USDT(テザー)は、世界で最も早く登場したステーブルコインの一つです。2014年に誕生し、現在も時価総額・流通量ともにNo.1の地位を維持しています。米ドルと1:1の価値を持つ「法定通貨担保型」で、EthereumやTRONなど複数のブロックチェーンで発行されています。
USDTはその取引量の多さから「ステーブルコイン市場の基軸通貨」と言われることもあります。一方で、発行元であるTether社の準備金の透明性については長年議論の的であり、過去には不正使用の疑惑や準備金不足が指摘されたこともあります。
とはいえ、近年は四半期ごとの準備金報告を行うなど改善が見られ、価格も長期間にわたり1ドル前後を維持しています。初心者にとっても使いやすく、取引所間の送金などで広く活用されています。
USDコイン(USDC)|規制準拠と透明性が強み
USDCは、米国企業のCircle社とCoinbaseが共同で立ち上げたステーブルコインです。2018年に登場し、USDTに次ぐシェアを誇っています。米ドルと1:1で連動し、その裏付け資産には現金や米国短期国債などの超安全資産が使われています。
USDCの大きな強みは、法規制への対応と外部監査による高い透明性です。発行元は米国内の法律に基づいて運営され、第三者機関による毎月の監査結果を公開しています。そのため、信頼性を重視する法人や金融機関にも多く採用されています。
2023年には一時的に準備金を預けていた銀行が破綻し、ペッグが一時崩れる事態がありましたが、Circle社が即座に対応し、価格はすぐに安定を取り戻しました。さらにApple PayやVisaなどの大手企業との連携も進んでおり、実用性の面でも進化が続いています。
DAI(ダイ)|完全分散型のスマートコントラクト型通貨
DAIは、中央管理者を持たない分散型ステーブルコインとして注目を集めています。イーサリアム上に構築された「MakerDAO」というDAO(自律分散型組織)によって運営されており、スマートコントラクトによって発行・管理されます。
他のステーブルコインと異なり、DAIは暗号資産(例:ETH、USDCなど)を担保にして発行されます。担保価値の変動によるリスクを抑えるため、常に150%以上の過剰担保が必要とされ、担保割れが起きれば自動清算される仕組みです。
この仕組みにより、価格安定性を維持しながらも管理者による資産凍結のリスクがないという特徴があります。DeFiプロジェクトを中心に幅広く使われており、分散型金融の象徴とも言える存在です。
その他の注目ステーブルコイン
ここでは、USDT・USDC・DAI以外にも注目される代表的なステーブルコインを簡単に紹介します。
- BUSD:BinanceとPaxosが提携して発行した米ドル連動型。2023年に米規制当局の対応により新規発行停止となり、徐々に残高は減少中。
- TUSD:第三者信託の管理体制による高い透明性が特徴。近年はバイナンスでも利用されています。
- USDP(Pax Dollar):Paxos社が手がける信頼性の高いステーブルコイン。ニューヨーク州金融当局の監督下で運用されています。
- XAUT(テザーゴールド):テザー社が提供する金価格と連動したコイン。1XAUTは1トロイオンスの金に相当。
- USDD:TRONブロックチェーン上で2022年に登場。アルゴリズム型と担保型を組み合わせたハイブリッド設計。UST崩壊後は信頼性に課題。
- PYUSD:PayPalが2023年に開始した米ドル連動ステーブルコイン。Paxos社が発行を担当し、PayPal内での利用を目的としています。
2025年6月時点で、ステーブルコインの数は180種類以上に上りますが、実際に広く使われているのはごく一部。FDUSD(First Digital USD)やUSDDなどが上位に入る中で、信頼性と実用性を兼ね備えたコインだけが生き残る時代が訪れています。
おわりに
ステーブルコインは、暗号資産の世界において安定した価値交換手段としてますます重要な役割を果たしています。法定通貨との連動や分散型の仕組みなど、それぞれのコインには異なる特徴があり、用途や目的に応じて選択することが大切です。
今回ご紹介したUSDT・USDC・DAIは、どれも信頼性と利用実績に優れた主要ステーブルコインです。仮想通貨初心者の方でも扱いやすいため、まずはこれらの銘柄から学び、使ってみるのがおすすめです。
今後も市場環境や規制、テクノロジーの進展によりステーブルコインの勢力図は変化していくでしょう。最新情報をキャッチアップしながら、自分に合った資産管理方法を見つけていきましょう。
コメントを残す