ステーブルコインのメリットとリスクとは?

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ステーブルコインのメリットからリスクまで網羅的に知ることができます☕

はじめに

仮想通貨といえば、価格の上下が激しいイメージを持つ人も多いでしょう。そんな中で注目を集めているのが、価格が安定した暗号資産「ステーブルコイン」です。
この記事では、ステーブルコインがどのようなものか、その利便性や活用方法、そして使用時に気をつけるべきリスクについて分かりやすく解説します。


ステーブルコインの魅力とは?

価格の安定性が高い

ステーブルコイン最大の特長は、価格が一定水準に保たれている点です。
多くのステーブルコインは米ドルや日本円などの法定通貨と価値を連動(ペッグ)させており、「1コイン = 約1ドル」といった価格で安定しています。
この安定性により、価格変動の大きいビットコインなどと比べ、資産の避難先や決済手段としての使い勝手が格段に高まっています。

海外送金が簡単・高速・安価に

従来の国際送金では、銀行の営業時間や中継銀行の存在により、数日かかる上に手数料も高額でした。
しかしステーブルコインなら、ブロックチェーン技術を活用することで、わずか数分〜十数分でグローバル送金が完了します。
しかも中間コストが削減されるため、圧倒的に手数料が安いのも魅力のひとつです。

資産運用にも活用できる

ステーブルコインは、DeFi(分散型金融)や中央集権型取引所を通じて、さまざまな形で利息収入を得ることが可能です。
代表的な手法には、レンディング(貸出)、ステーキング(預け入れ)、イールドファーミング(流動性提供)などがあります。
価格が安定しているため、原資を維持しながら年利数%のリターンを狙える点も、他の仮想通貨にはないメリットです。

不安定な市場の“デジタル避難通貨”として使える

仮想通貨市場が暴落したとき、すぐにステーブルコインへ資産を移すことで、損失を最小限に抑えることができます。
また、インフレや通貨不安が続く新興国では、米ドル連動型のステーブルコインが「代替的なデジタル口座」として実用化されつつあり、現地通貨の価値低下をカバーする役割も果たしています。


知っておくべきステーブルコインのリスク

メリットが多いステーブルコインですが、使用にあたっては以下のような注意点も存在します。

ペッグの崩壊リスク

ステーブルコインの価値は特定の資産に連動する仕組みですが、それが必ず維持されるとは限りません
過去には、担保不足や信用不安からペッグが崩れた事例もあり、1ドルを割り込む場面もありました。
たとえば、TerraUSD(UST)はアルゴリズム型の失敗例として知られ、最終的に価値がほぼゼロになるという事態に発展しました。

発行元の信用問題

多くのステーブルコインは民間企業によって発行されています。もしその企業が財務的に不安定だったり、資産の裏付けが不透明だった場合、コインの価値が崩れる可能性があります。
例えば「テザー(USDT)」はその準備金の内容をめぐって何度も疑問が持たれており、利用者の間で信頼性を不安視する声がありました。
購入・保有の際は、監査報告書や運用方針の透明性が高いかどうかをチェックすることが重要です。

規制による制限リスク

ステーブルコインは今後、世界中で規制の対象になる可能性があります。
たとえば、マネーロンダリング防止や制裁回避を目的とする法整備によって、特定のコインが使用制限を受けたり、取引所から削除されたりするケースも考えられます。
実際、米国では規制当局の指導により、あるステーブルコインの発行停止命令が出されたこともあります。今後の動向には継続的な注視が必要です。


おわりに

ステーブルコインは万能ではないが、賢く使えば強力な武器になります。

ステーブルコインは、仮想通貨と伝統的な金融の“架け橋”となる存在です。
その価格の安定性や即時性、運用の多様性から、今後ますます重要な役割を果たすことが期待されます。

ただし「価格が安定している=ノーリスク」ではありません。裏付け資産や発行元の体制、そして各国の法制度との関係など、多面的な視点で情報を確認しながら活用することが求められます。

正しい知識と理解をもとに、ステーブルコインを上手に活用することが、資産防衛や運用の鍵となるでしょう。